本校は、99年9月に全校職員の協力で校内ネットワークが完成し、100baseTXを基幹として51教室のほとんどの教室に情報端末が引かれた。また、横浜市教育委員会から、Windowsのコンピュータがノート型を含めて15台新規に導入された。校内LAN環境でインターネット等が、どの教室のPCからも利用できるようになった。Windowsは、GUI操作が主で、視覚障害者には、難しいとされてきたが、最近はスクリーンリーダーと呼ばれる音声読み上げソフトウェアを使って、Windowsを使って学習を助ける道具として、自在に操作できるようになってきた。PC教室はいつも生徒・児童に解放されインターネットやアプリケーションを積極的に活用するに至っている。
3Fの音楽室にも、9月末からPCが4台導入された。 一般に、視覚障害者は健常者に比べて、その80%の情報を得られていないとういうが、聴覚や音楽的才能はすばらしいものを持ち合わせている生徒や児童が多い。
2.点字楽譜作成ソフトウェア fuga の活用
まず、最初に点字楽譜を生徒に作成してもらい、それを通常の健常者が読める楽譜に直すソフトウェアを探した。
フリーソフトウェア「フーガ」は視覚障害者用によく紹介されているソフトウェアで視覚障害者が独力で一般楽譜を作成することを可能にするパソコンソフトである。 機器構成として必要なものは旧NECのパソコンとプリンターのみである。 楽譜というものは、もともと極めて複雑で多様性に富んでいるうえ、一般楽譜を描くために必要な情報のすべてが点字楽譜の情報に含まれているとは限りません。従って、パソコンによって点字楽譜を一般楽譜に自動的に変換することには多くの困難がある。
http://rd.vector.co.jp/soft/dos/art/se014650.html フリーソフトウェアのページ
上の図1 図2は、フーガのソフトウェア画面である、通常点字楽譜は、ワープロ等の画面でカナ入り文字で作成するが、一般に全生徒に点字楽譜を操作させるのは難しいものがあった。したがって、一部の音楽部の生徒に作成させた。
音楽キーボードは、健常者や視覚障害者に関わらず、音楽に興味のあるものにとって共通のインターフェイスである。 また市販のソフトウェアの中には楽譜作成も容易にできるものも多くなってきている。普通科高等部の授業の中で音楽キーボードを使って自分の作曲した、音楽データを取り込んだ。弱視生徒の場合は、図3 図4のようににWindows標準の拡大鏡やズームテキスト等のなど市販の画面拡大ソフトウェアの組み合わせでソフトウェアの操作が可能になる。全盲者の場合は、補助者が必要となる。
4.他校との音楽交流と発表会
11月の文化祭や12月の福祉交流会を通じて市内の普通中学校との交流を行った。
音楽キーボードを通じて互いの校歌などの取り込みを行い発表しあった。
音楽キーボードを介すことによって全盲の生徒でも、健常の生徒でも障害のバリアは取り除かれることがわかり、交流会に参加された他校の保護者の方にも好評であった。
中学部では横浜市立富士見中学校や豊田中学校や横浜市立矢向中学校などとの交流を行った。(図5 図6)音楽キーボードを使い、互いの校歌や自作の曲の発表を行った。パソコンにMIDI装置を通じて音楽データを取り込んだり、自動演奏をさせたりしながら発表を行った。また11月の文化祭では、交流を通じて演奏会を一緒に見て評価していただいた。(図7) 図8は高等部の発表場面
5.高等部 普通科での実践
何故 音楽の授業にパソコンを使うのか? 視覚障害者が音楽に親しむということを想像してみると まずは「耳から」ということが考えられる。 しかし,音楽は「聴くだけの活動」ではない。聴いているうちに,自分でも表現してみたいという気持ちになるものである。
そこで,捕らえた音を何か楽器で表現してみる。そうするうちに「自分でも曲を作ってみたい」という気持ちになる。ところが,そこには楽譜という大きな壁が立ちふさがっている。
英語のアルファベットがわからなければ英語がよくわからないのと同じように,やはり楽譜がわからないと作曲はとても難しい。(これは健常者も同じである)
その大きな援助となるのが「作曲をしてくれるソフト」ではないかと思い,パソコンの利用(活用)を考えた。
5.1 実践報告(授業指導案)
(1) 主 題 MIDIを使って簡単な作曲をしてみよう
(2) 主題目標 MIDIを利用し,直接キーボードから入力して簡単な作曲をすることができる
(3) 主題について
B稼働環境 校内ネットワーク環境 インターネット接続
C利用ソフト Singer Song Writer LITE http://doremi.lamuz.co.jp/
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本時の目標 |
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指導上の留意点 |
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MIDIソフトウェアに慣れよう | ソフトウェアを立ち上げる。
システムを知り、慣れる |
基本的な設定ができるようになる
(調,拍子速さ,使う譜表など) |
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簡単な作曲をしてみよう | キーボードを使い,心に浮かんだ旋律を音にしてみるできた作品を印刷し楽譜にしてみる | 事前に何か旋律を考えておく
旋律が次の段階のモチーフになるようにする |
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まとまりのある曲を作ってみよう | 前の時間に使った旋律を利用し,「終わる感じ」の曲を作る
できた作品を印刷し楽譜にしてみる |
前の作品にはこだわらなくてよい
一人1曲でなく複数曲でもよい 楽譜化の際,微調整は教師が 援助する |
5.2 授業をしてみて
一言でいえば「やはりパソコンは難しい」である。ソフトの立ち上げに始まって,そのソフトを思うままに働かせるには結構時間がかかるということを痛感した。
又,生徒も「心に浮かんだ旋律をそのままキーボードで演奏する」のは返って難しいようであった。イメージはなんとなくあるのだが,出だしの音が決まらないという生徒が多かった。
これは,出だしの音さえ決まれば後は何とかつないでいかれるということなのかもしれないが。 体裁の整った曲になったとは思えないが,自分の弾いた音が楽譜となって視覚化されるのはまんざらでもないようであった。
それを見ると点字楽譜への翻訳ソフト,あるいはそうしたシステムの普及が望まれる。
現在、色々なメーカーからたくさんの作曲支援ソフトが販売されているので,予算があれば様々なソフトを体験することも必要である。
生徒試作作品 試作MIDI
6.活用ソフトウェアの紹介
6.1
6.2 ドレミBOX http://www.lamuz.co.jp 開発元:株式会社ワークスゼブラ 販売元:ラムズ株式会社通常のパソコンキーボードを音楽キーボードに割り当てることができ、幼児から大人まで楽しめるようになっている。
視覚障害者にとって、視覚情報のハンディーはあまりにも大きい、特にパソコンの操作については、操作性がよくなったとしても、大きな山がある。音楽を通じて健常者と普通に交流できたり、作曲をした曲を発表しあえることは大きな喜びである。
視覚障害者は、交流といっても、交通機関を使っての移動は健常者とは比べものにならないくらい困難が伴う。インターネットが社会や家庭に、これだけ普及する中、通常の授業の中で、他校との交流ができるようにしていきたい。
また、公開はしないが、校内イントラネットでは、音楽発表会の動画場面や生徒作曲のMIDI音楽等が公開されている。またこれらを編集の上、希望の生徒に家庭でも楽しめるように、CD配布の準備をしている。
最後に、機材をお貸しいただきましたヤマハ(株)様、点字楽譜作曲「フーガ」ソフトウェアの使用を快くお許しいただきました藤野様他 多数の関係の皆様に感謝の意を申し上げる次第である。