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ろ、す、と、お兄ちゃま。ねえ、ちょっとお部屋の中を改めさせて欲しいんだけど?
って、あれ?なんでそう露骨にぎくぎくって顔をするのかなあ?ねえ?!
なんかね、先月この街に来たばっかりの頃にね、ロストお兄ちゃまの部屋からなんかぼそぼそと怪しい会話が聞こえてきたことがあってねえ……えーと、なんだっけ。ああ、そう、お人形が云々とか、ねえ。
……って、あれ?ロストお兄ちゃま、なんか随分お顔の色悪いけどどうしたの?
ふぅん、何でもない?ならいいや。ええと、それでぇ、ほら、最近怪しい偽造品のお人形が裏るーとで出回ってるとかなんとかいう黒い噂があるじゃない? 会話の内容からパム、その密売犯だと思って、怖かったけどお部屋に踏み込んだの。
だってほら、まっさかロストお兄ちゃまがそんなことに関与してるわけないし、ロストお兄ちゃまのお部屋がそんな密取引の現場になってた、なんてすっごく不届き千万に思うでしょ?
それでえ、踏み込んだ結果がどうなったと思う?
なんと!パムが踏み込むまでのほんの一瞬に、誰もいなくなっちゃってたの!!あとに残ってたのはロストお兄ちゃまの荷物だけ。うーん、おっかしいよねえー。
あら?ロストお兄ちゃま、すっごい汗。どっか具合でも悪いの?もう、毎日夜更かししてるからじゃない?いけないなあ。もっと体調には気を付けなくっちゃ。パムが拭いてあげよっか??
ごしごしごしって、あれれ?なんかもっとお顔が真っ赤になっちゃった。うわー。これはもう完全に風邪だね風邪。さっ、だからさっさとお部屋に帰って休まなくっちゃ。
大丈夫。パムが全部お世話してあげるから。だからロストお兄ちゃまは安心してくたばって……じゃない、休んでいておっけーだよ。うふ……うふふふふ……。
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