コーポ・カルラ   ワンルーム・マンション

 冷夏だったとはいえ、まだ残暑がきびしかったころ、川崎府中街道にめんした敷地の測量から、この仕事は始まりました。古くなった木造平屋建ての貸家三棟をとりこわして、そのあとに鉄筋コンクリートのアパートを作るという計画です。敷地が交通の激しい道路に面しているため、騒音対策が必要です。

 現在は建築費が落ちついてきたうえに、銀行の金利が下がっているので、アパートを建築するには絶好の時です。しかし、だからといってどんな物を建ててもいい、ということにはなりません。建築主にしてみれば、大きな買い物ですから、慎重のうえにも慎重にいきたいはずです。そのためには、長い年月にわたって良き入居者を確保できるような建物でなければなりません。

 いつでも、入居者に恵まれている建物は、当たり前のことですが、潜在的な入居希望者がたくさんいる層をねらうことです。すると必然的に、独身者か、小家族ということになります。また、アパート経営上からも、小さな住戸を作る方が、空き室がでても収入の変動を小幅にすることができますから、安定した収入が見込めて安心感があります。

 都市部では、敷地の有効利用からも、建物を高層化したいところです。高層にするとすれば、エレベーターが必要になります。建築費全体からみれば、エレベーターはそれほど高価なものではなく、一本500万円くらいで設置できます。しかし、エレベーターの維持費、これがばかにならないのです。それを家賃に上乗せするのですから、エレベーターのある建物は、どうしても家賃が高くなりがちです。ですから、規模が小さなアパートでは、高層にすることは必ずしも得策ではありません。

  

 今回の計画は幸いなことに北が道路なので、道路側からの採光は考える必要はありません。防音のために道路にめんして壁をたてることから、設計は始まりました。壁をたててしまうと、部屋に入れませんから、壁に穴を開けて入り口を作りました。多くのアパートは片側廊下が多いのですが、ここではそれぞれの部屋にいたる階段は、向かい合った二世帯専用です。しかも、玄関の扉は向かい合ってはいません。

 図面上の検討、収支計算などを経て、計画が決定したのは10月の初めでした。ただちに施工業者の選定です。以前の工事で丁寧な仕事をしてもらった記憶があったので、その旨を建築主に伝え、今回はT建設さんに、特命でお願いしました。しかし、特命といっても設計事務所が入っている以上、高い請負金額では困ります。消費税込みの7、000万円とお願いしたところ、きびしい金額ながら快く引き受けてくれました。

 設計事務所が施工業者を紹介したときは、紹介した責任も事務所にかかってきますので、いろいろと心配も多いのですが、現場監督のYさんほか皆一生懸命です。2月末日の引き渡しをめざして、工事は今追い込みです。


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