ハードとしての確実な家作り:実践編 

        


1. 仮設工事 その1 2. 仮設工事 その2

1. 仮設(かせつ)工事 その1

 これから建物を建てる敷地に立ってあたりを見回すと、地面があるだけで、現場はすこぶる殺風景です。そこには人の手になるものは何もなく、注意を引くような物は、何も見えません。しかし、それでも敷地を注意深く見ていると、地面の凹凸、地質など、いろいろなものが見えてきます。

 建築工事をするにあたって、敷地に関して確認しておくことが、いくつかあります。なかでも、まず敷地の境界は、必見です。四方の境界線をよく確認して、敷地のはっきりと輪郭を浮かび上がらせます。もし、敷地の境界がはっきりしていなければ、隣地の所有者(隣地が道路の場合は、道路管理者)と相談する必要があります。ここでは、敷地境界は確定しているものとして、話を始めます。

 今は、まだ何も建ってない地面の上で、敷地のどこに建物を配置したら良いか、さまざまに想像をめぐらす、楽しい一刻でもあります。あのへんが居間で、ここらあたりに玄関がくるのかな。敷地のすみからすみまで何度も、歩いてみるべきでしょう。このあたりは少し土が堅いとか、草が多いとか、北の角は水はけが悪そうだとか、足の裏から、地面の情報がたくさん伝わってきます。何度でも現場を歩くことは、とても大切なことです。

 図面に示された建物が、敷地におさまるか、どの場所に位置させたら良いか、すでに設計図で示されていることを、もう一度検討します。もし設計図ができていなければ、設計の段階に戻って下さい。設計は<考える家>参照です。建物のおおよその輪郭を、地面の上にビニールのヒモ(ビニールのヒモが安いのでよく使われる)で形どってみます。これを<地縄(じなわ)をはる>と言いますが、これで敷地内に、建物がうまくおさまるなら上首尾です。おさまらなければ、建物を小さくするとか、隣地を借りるとかの手配が必要になります。つまり、設計段階へと逆戻りというわけです。敷地に建物が入らないなどという、あってはならないことも、世の中には時として、発生することもあるようです。

 ここでもう一度、道路や隣地との関係を確認してみましょう。道路や隣地とあなたの敷地は、必ずしも同じ高さとは限りません。敷地の方が高ければ良いのですが、反対に道路や隣地の方が高いようだと、雨が敷地に流れ込んでしまいますから、何らかの手だてが必要です。隣地とのあいだに高低差がある場合も、流れる雨水は自分の敷地内で処理すべきですから、それなりの工作が必要です。

 家が敷地におさまるとして、次ぎに、家の高さの基準を決めます。つまり、これから家が完成するまでのあいだ、いつもこの高さを基準にするという、高さの仮定点を設定します。1階の床は敷地から、どの位の高さにすればよいかがこれで決まります。敷地面は平坦とは限りませんから、通常は前面道路のもっとも高いところを基準に考えます。そこから何センチか上がったところを、設計図に示された地盤として想定します。

 道路が水平とは限らず、敷地の前が坂になっていれば、どの地点を基準に取るのかも検討すべきです。車がうまく敷地内の駐車場に入るように、道路と敷地の関係を決めます。もし敷地のほうが低ければ、土を入れるなどの処置を講じます。

 前面道路のもっとも高いところから、何センチか上がった水平面を高さの基準点として、どこか動かないところに印します。この高さの基準点を、ベンチマーク=BM呼びます。現実のベンチマークとは、電信柱やコンクリートの塀などにつけた印にすぎません。そして、設計図の上の地盤線=GLを、ベンチマークからの高さとして計算します。床の高さは、GL+○○センチと設計図の上にかかれていますから、BMとGLの関係を決めることによって、床の高さが確定するわけです。BMの設定とは、建物全体の高さの設定ですから、非常に重要です。


 基準の設定を終えると、仮設工事がはじまります。仮設工事は、これ以降に述べる他の工事とは、少し性格がちがいます。仮設工事は、工事の便のためだけにする工事で、建物が完成すると撤去します。その内容は、

@これから立てる建物の<基準だし>
A高所作業のための足場
B工事現場をかこう仮囲い(かりがこい)
C工事用の電気や水道の手配
D資材置場の設置
E出来あがった部分の養生(ようじょう)
F作業者用の仮設トイレの設置,、といったものが含まれます。

 
垂直と水平
 ふだんの生活のなかで、私たちは、水平とか垂直を意識することは、少ないはずです。床は平だし、柱は真っすぐに立っています。ところが自然界には、私たちがあたりまえだと思っている、水平や垂直といったものが、まったくと言っていいくらいに存在しません。どんなにまっすぐに伸びた杉の木も、厳密には垂直ではありませんし、平らに見える湖水も小波がたっていて、完全な水平ではありません。多くの場合、敷地はだいたい平らですが、家を建てる場合は、だいたい水平では困ります。それでは、かしいだ家ができてしまいます。

  基準点、基準面と言ったものは、人間の作った約束ごとです。ところが、これが完全に設定されていないと、それを基にできる家は、すべて狂ってしまいます。設計するときは、図面の上に一本の線をひいて、たやすく水平=設計地盤面GLをかいてしまいます。ですから、水平を出すのは、つい簡単なことのように考えてしまいがちです。しかし、敷地の上に水平をだすことは、案外とやっかいな仕事でした。

 <基準だし>とは、これから立てる建物の、位置や高さを決定することです。その基準から、すべての工事は始まります。地面もよく見ると、完全な水平ではありません。どこを地盤面の高さとするか、BMをどこに押さえるか、それによって建物の床面が決まってきます。この基準だしのことを、<遣り方(やりかた)をだす>とよんでいます。

 現代では、レベルという機械を用いて、簡単にしかも正確に水平を決めることができます。しかし、そうした機械のなかった昔は、どうやって水平をだしたのでしょう。まず、すぐ思いつくのは、水を使うことです。水平と呼んで字のごとく、静止した水面は平らです。しかし自然の水を、人間の営みである建築の世界へ応用するには、少しの時間と手間がかかりました。

 おそらく、最初は、建物が建つ周囲の土地に溝を掘って、そこに水をはってみたことでしょう。そして、その面から、いくらか上がった所に印をつけて、基準の水平面をだしたことでしょう。しかし、建物は平らな敷地に建つとは限りません。たとえば、京都の清水寺のように敷地自体に大きな高低差があれば、もう溝を掘って水をはるどころではありません。高低差のあるところでは、水という自然をそのまま利用して、水平面を得ることは不可能です。

 
水盛り箱を使っている2人

 そこで考えつかれたのが、<水盛り箱>でした。つまり、細長い箱を作って、その中に水を入れて、こぼれない状態で保つのです。するとその箱の中の水面は、水平です。そして、その細長い箱の水面から、いくら上がりとか、いくら下がりとかと言って、水平を決定しました。水を入れることを、水を盛ると呼び、水を盛って水平を決定したために、今日でも水平をだすことを<水を盛る>と言います。その上、水平面や水平線のことを<水>と呼んでいます。そして、水平をだす道具を、<水盛り管>と呼んでいます。小規模な工事や狭い場所では、今だに<水盛り管>が使用される時があります。

 水だけではなく、陸も水平だと考えていたのでしょうか、なぜだかは判りませんが、水平のことを別名<ろく>とも呼び、水平を印した墨を陸墨(ろくずみ)とも称します。線の上に、#の印を付してあるのは、水墨(陸墨)を表わします。墨といっているとおり、現場で印をつけるときは、今でも本当に墨を使います。墨壺(すみつぼ)という道具に綿をいれ、それに墨汁をしたしいておきます。それを、墨差しという竹の道具で印します。鉛筆では木やコンクリート面にはのりません。ですから、必ず墨を使います。以後、印すというときは、特記しない限り、すべて墨で印すことをいいます。

 基準となる水平面や直線を、空中に印すわけにはいきません。ですから、印すための仮の板を設置します。地縄によって、おおよその位置決めした建物の外周より、50〜60センチ外側に、36×45の杭を1.8メートル間隔で地面にうちます。そして、その杭に<水盛り管>もしくはレベルで、水平な点を印していきます。その点を結んで、まっすぐな長い板(水貫=みずぬきと呼び、杉板を使うことが多い)を水平に固定します。これを遣り方(やりかた)といいます。

 次々に杭の水平点を結んで、建てる建物の外側に水貫をぐるっと一周させます。これによって、水貫の上端(うわば)は水平になった。つまり、水貫の上端という仮定の面が、空中で水平におかれたわけです。そして、この水貫に柱の建つ位置を印します。ただし、このまま水貫に柱の位置を印すことは出来ません。というのは、まだ直線や直角を決める必要があります。でなければ、四角い家が建ちません。

 基準水平面が決まると、次は直線を必要とします。土台をすえるにしても、柱を立てるにしても、やはり、一直線上に並べないと上手くありません。直線とは、一口にまっすぐな線と言いますが、正確な直線を決めるのは、案外と難しい作業です。特に長い直線を、地面の上に描くことは、たいへんに難しい仕事です。そこで私たちの先達は、直接地面の上に直線を描くことはあきらめて、細い糸をピンと張った状態が、直線であると考えました。このやり方は現在でも、建築現場で相変わらず使用されています。糸の材質こそ、絹や綿からビニロンに変わっていますが、糸をはることによって直線を得ることは、何も変わっていません。

 糸には弱点があります。それは、風に対して弱いことです。糸は強い風に流されて定まらず、なかなか正確な直線を得るのが、困難となります。ですから、この作業は風のない日におこないます。そうして得た直線に対して、直交する直線を設定するのも、また一仕事です。紙の上なら三角定規を使って容易に直角を描けます。しかし、レベルなどの光学機械を使わずに、凸凹した地面に正確な直角をだすことは、思いのほか困難な作業です。

 直角のことを<矩=カネ>と言いますが、昔から直角を求めるには、何とピタゴラスの定理が使用されてきました。どうも大工たちは、大昔からピタゴラスの定理を知っていたようです。大矩(オオガネ)と呼ばれる大きな(各辺三、四、五メートルといったような)直角三角定規を現場でこしらえて、それでもって直角を確認します。このオオガネを作る時に、大工たちはピタゴラスの定理とは何たるかとは知らずに、それを利用して直角定規をいとも簡単に作ってしまいます。

 
オオガネ

 さきの直線に対して、オオガネでにらんだ糸をもう一本はれば、そこが直交するもう一本の直線と言うわけです。これで、基準水平面の上に、直交する直線が設定できました。これができてはじめて、四角い間取りの家ができることになりました。正確に四角い家を作るのは、意外と神経のいることです。畳が四角いのも、コタツが四角いのも、最初に直交する基準が設定されたからです。

 仮設工事の中でも、<基準出し>は目立たない工事ですが、非常に大切です。工事の途中で、大工たちがいつもこの基準に戻って、高さや水平を確認しているのは、言うまでもありません。<遣り方だし>、つまり基準面の設定は、大工の仕事です。そして、この仕事はどんな家でも、だいたい1人工かかります。<水盛り管>は1人でもあつかえますが、レベルは2人いないと作業ができません。レベルを使用することの多い昨今では、<遣り方だし>は、2人で現場に行って半日で終わるくらいの仕事量でしょうか。

 さて、建った建物は、地面に対してまっすぐ、言い換えると、垂直に建っている必要もあります。傾いた家というのは、困ったものですし、家が傾くのも是非避けたいところです。そこで、垂直を求めるのですが、これは昔と変わらぬ方法を使います。それは、糸におもりをつけて下げると、垂直になると言う古来不変の方法です。下げ振りと呼ばれる道具が、そのために用意されています。

 垂直を求めることは、仮設工事と言いながら、工事の成果物が残るのではなく、単に作業です。その上、それは、現実に柱が建たないと、確認できません。そのため、実際にはずっと後、つまり建方工事になって登場します。ちなみに、垂直のことを、たて方向きの水、つまり<たて水>と呼んでいます。

 水平、直線、直角、垂直、どれをとっても、家を建てる上では大切なことばかりです。そして、どれも易しそうでいて、いざ正確に求めようとすると、なかなか困難な作業となるものばかりです。しかし、求める方法は、昔も今も大して変わってないのは、面白いことです。もちろん、今日の大規模工事では、より正確な光学機械が使用されているのは、言うまでもありません。しかし、光学機械のなかった時代は、五重の塔だろうとお城だろうと、ここに述べたような方法で<基準だし>は、なされていました。


2. 仮設工事 その2

 基準だしがすむと、仮設工事は一段落です。これ以降、仮設工事は骨組みの工事進行に少し遅れて、着工から完成まで通して行われます。ですから、工事の進行との関係で言えば、この次は基礎工事や建方工事へと論を進めるべきですが、ここで仮設工事として論ずべきことを、まとめて述べてしまいます。

 昔は、職人の気も荒く、怪我などの労働災害に対する配慮も少なかったためか、とかく仮設工事を軽視していました。また、意地とやせ我慢が、工事現場を支配していましたので、高い所での軽わざ的な身のこなしや、無理な作業がしばしば強行されたりもしました。最近では、人命に対する配慮が徹底したことと、仮設をしっかりした方が、結局は能率も上がることが認識されてきたため、仮設工事をしっかりと、つまりお金をかけてするようになってきました。

 
東大寺の瓦
 奈良は東大寺の屋根瓦の葦き替え工事が、何年か前にありました。あの工事の目的は、大仏殿の屋根の瓦の葦き替えでした。しかし、工事の安全やら、大仏様への影響を考えて、大仏殿をおおう素屋根(すやね)をかけるという仮設工事をしました。そのため、仮設工事費は膨大な金額になりました。全工事費の約60パーセントが、素屋根という仮設工事に、費消されたと言われています。
昔の足場
 単管足場になる前は、杉もしくはヒノキの丸太を、堀立て式にした丸太足場でした。立てた丸太の両側に同じ丸太を、番線と呼ばれる直径四ミリほどの鉄線でしばりつけます。つまり、丸太を使用した抱(だき)足場です。ちなみに、番線のない時代にはどうしたか。わら縄を使用したそうです。番線は腐りませんが、わら縄は腐りますから、長い工事になると、足場を組んだまま、時々わら縄をとり替えることが必要でした。昔はどんなに高いお城も、大きなお寺も、皆このわら縄でしばった丸太足場で、建築されました。
丸太の保存
 木は自然に生えている状態が、最も強いものです。切倒されても、不思議とその性質は残っています。丸太を横にしておくと、たちまち腐ってしまいます。まっすぐに天にむけてたてかけておく、丸太を在庫しておくのにも、こうした配慮が必要でした。しかもてっぺんから雨がしみ込まないように、屋根をかけることが不可欠でした。
 
単管による抱き足場

 一般の住宅建築では、仮設と言って大きな費用項目は、やはり足場です。都市部での工事や、鉄筋コンクリート工事の場合は、直径6センチほどの単管と呼ばれる鉄のパイプをつないで足場をつくります。二階建程度では、1本のパイプを垂直に立てて、それに両側からもう1本ずつパイプを抱かせた、いわゆる抱足場です。もう少し大規模な工事になると、棚足場とか本足場、ビティ足場と呼ばれるものになり、その上を普通に歩ける足場を使用します。

 足場材は、頭(かしら)もしくは鳶(とび)と呼ばれる職人が持っていて、工事毎に大工に貸します。というのは、仮設工事は頭の工事範囲であることが多く、建築工事全体の指揮は大工棟梁がとりますが、作業は頭たちがします。その時、頭たちは自分の保管場所から、仮設材を持ってきて使用します。ですから、大工は月○○円という賃借料を頭に支払うのです。しかし、大概は足場の掛け払い作業とも一式で、面坪当り○○円という計算方法をとります。

  足場掛け払い一式
60面坪×3,000円/坪=180,000円
と言う金額が、仮設工事の中に計上されているはずです。

 頭たちは、何人もの大工を得意先として持っていますから、時とすると同時に何人もの大工が工事をすることがあります。もちろん、そうなっても大丈夫なように、五棟分、六棟分の仮設材を持っています。しかし時には、工事がいくつもたてこんでくると、仮設材が不足します。そんなときは、同業の頭(もしくはリース屋さん)から仮設材を借りてきます。しかし、仮設材は同じ顔をしていますから、自分のものか借りたものか、区別がつかなくなってしまいます。そこで、頭たちは自分の仮設材には、いろいろと印をつけて、自己の所有を現しています。

 現代では、工事の安全管理のために、様々なことが法律で決まっています。残念ながら、すべてを法律通りに守れないのが、建築現場の実状ですが、極力、工事の安全を計るようになってきたのは嬉しいことです。

 仮設工事に含まれるものは、他に次のようなものがあります。
G工事用電気・水道の費用
H跡かたづけ、清掃費
I養生(ようじょう)費
J安全設備費
K発生材処分費
L通信費

 工事用の電気水道とは、工事に使う電気や水です。丸ノコや電気カンナ、左官のミキサーまた夜まで作業がのびると、電燈を使います。こうしたものの電気代と、仮設電気の設置代金が計上されます。一式で4〜5万円くらいでしょうか。

 水も、工事に使用します。建て替えでしたら、前の家の水道が残っているはずですが、新規なら工事用として新設しなくてはなりません。これも4〜5万円くらいでしょうか。ただし、水道は引いてくる距離、またどこを引いてくるかで、金額に大きなひらきがでますので、敷地のある場所によって、大きく異なります。

 跡かたづけ、清掃費とはもうお判りでしょう。残材の整理や、前面道路の清掃などです。近隣住民に迷惑をかけないためにも、まめに清掃はしたいものです。養生費とは、できあがった部分を傷つけたり、汚したりしないように保護するための費用です。これにお金を投ずるか否かで、完成した建物を、きれいなまま建築主に引き渡せるかどうかが違ってきます。安全設備費とは、どうもよく判りにくい項目です。しかし、少額ではあれ、職人たちの安全に対する費用を、計上しておくことはよいことです。

 発生材処分費とは、工事の途中で発生する不要品を捨てる費用です。木の切り落としとか、コンクリートのかけらなど、いわばゴミがでます。また、製品の包装も厳重になってきて、工事中に、たくさんの不要品が発生します。以前は捨てるのに、お金はかかりませんでしたが、最近は捨てるのにもお金がかかります。

 通信費とは、電話代やフアックスの料金、郵便料などです。連絡は、建築主とだけではなく、各職人衆との間でもとりあいます。しかし、これは工事をはじめる前に、いくらかかるか判りません。ですから、経験的にわかっている金額を、おおよその目やすとして計上します。しかし、いずれにせよ大した金額とはなりませんから、超過しても余っても、見積の時の金額のままで、精算してしまうことが多いようです。

 仮設工事には、こまごまとした支出項目がたくさんあります。またどんな項目に分類するのが適切なのか、判断に苦しむ費用もあり、(隣近所へ挨拶に行く時の手土産とか、工事中の火災保険等々。これらもつまるところ建築主の負担である)これとこれと特定するのは困難です。組織だった工務店の場合は、きちんと項目をたてて見積ってきますが、町の大工さんですと、細かいものは、最後の諸経費という項目で一括してしまうことが多いようです。詳細に列記するか、ドンブリ勘定でやるかの違いはあれ、どこかにそれ等の費用は、確実に計上、もしくはもぐりこませてあります。

 建築工事は、既成品を買うのとは違って、一品生産ですから、定価というものがありません。しかも、仕様と言って、仕事や材料の程度によって、工事金額に大きなひらきがでてきます。同じ30坪の家を1千万円で作ることも可能ですし、2千万円かけて建築することも可能です。(2千万円の方が、二倍もうかるかと言うと、そうでもないことは、後述していきます)

 仮設工事は最小必要限度があります。高所作業には足場が必要ですし、残材がでれば、跡かたづけをしなくてはなりません。ところが、作業が安全にできさえすれば、それで充分なわけです。特別に、必要以上に立派な仮設類は無意味です。ですから、他の工事項目は仕様によって金額が上下しますが、仮設工事は仕様によっては金額が動きません。仮設工事は、工事規模だけに比例して金額が増減します。おおまかに言って、60坪の家は、30坪の2倍の仮設工事費がかかります。(総工事費は2倍になるとは限らない)そして、同じ規模の工事なら、総工事費が多くなっても、つまり高単価の家であっても、仮設工事の金額は変わりません。


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「タクミ ホームズ」も参照下さい