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ハードとしての確実な家作り:実践編 | |||
27.鉄骨工事 最近では、木造住宅と家でも、鉄骨を使うようになりました。釘やカスガイなどのような金物は、昔から使っていましたが、大きな鉄の部材である鉄骨が持ち込まれたのは、もちろん、そんなに古いことではありません。木造住宅が鉄を嫌ったのは、家全体の柔軟性が、鉄という異質のものによって狂わされて、鉄の部分だけが硬くなってしまうからです。強い鉄と接する部分の木が負けてしまうわけです。木でできた木造住宅の中に、鉄という硬いものを使うことは、必ずしも、歓迎すべきことではありませんでした。 二階建ての建物が多くなり、特に一階を店舗として使うものは、一階の真ん中に柱をたてることができません。一階に柱をたてないためには、二階の床下つまり一階の天井裏に、背の高い梁を渡さなければ、二階の加重を支えられません。木の梁を使う場合、通常は、飛んだ距離(これをスパンという)の10分の1〜12分の1の梁背の部材を使います。たとえば、2間(3.64メートル)飛べば、その10分の1つまり360ミリの梁を使います。 飛ぶ距離がだんだんと遠くなってくると、梁の背の高さが、それに比例して大きくなっていきます。ところが、梁背を高くすることは、ふところ(一階の天井と二階の床のあいだ)が大きくなることを意味し、無駄な空間が増えることにつながります。そして、それは同時に階段の長さが長くなることにつながり、ひいては建物全体の高さを押し上げてしまいます。 梁背を抑えることは、建築コストを抑える上でも、使い勝手からも、要求されるところでした。鉄の梁は、木の梁の50〜60%の大きさがあれば十分ですので、こうした長スパンの建物には木の梁に代わって、鉄の梁が使われるようになってきました。断面がH型をした鉄骨が使われることもありますが、通常はコの字型した鉄骨を、二本背中合わせにして使います。 合わせ梁は、木の柱とのなじみがよいのです。木の柱を両側からはさむため、鉄の梁をボルトでつなぐことができます。そのうえ、そのあいだには木の束をいれて、その他の部材との結合にも役立てることができます。つまり、鉄と木ではなく、鉄骨を使いながら木と木の接合にできるのです。H型や他の断面をした鉄骨では、こうはいきません。 鉄骨の梁を使った場合は、胴差の上端(うわば)を同じ高さにすることはできません。こうした例では、一階の天井高を高くしたいことが多いため、鉄骨の梁が胴差の上になって、二階の柱の根元を、はさむように使うようです。こうすれば、鉄骨の下端=一階の天井となりますので、天井が高くとれます。 木造の建物の中に、鉄骨を使いたくはありませんが、木では不可能なところは、鉄を使うことを拒否する理由もありません。要は、材料の特性をうまく生かして、いかに使うかに尽きるのでしょう。誰が考え出したかわかりませんが、この鉄骨の使い方は感心させられます。 他にも、鉄骨が使われることがなくはありませんが、きわめて例外ですので、省略します。しかし、鉄骨と呼べるような太い部材ではなく、鉄の板や細いパイプというような形では、他にも鉄は使われます。それをここでまとめておきます。 前述のとおり、鉄は木よりも細くできますから、細くみせたいときには、鉄の使用が考えられます。とりわけ、鉄は溶接という接合ができるため、接合部が小さくなり、全体を小さくみせることができます。たとえば階段でも、きわめて軽快にみせたいときには、鉄が登場します。木工事その7で述べた以外にも、階段はあります。たとえば、小さな部材だけで構成した階段は、見た目に軽い印象を与え、狭いところには適しています。また、自立した回り階段も、鉄以外では作れません。 外部階段も、コンクリートが使えなければ、鉄になるでしょう。鉄を外部に使うときは、常に錆の問題があるのですが、木の階段は腐ってしまいますから、木の階段は論外です。今のところ常識的には、鉄の階段に塗装を繰り返しながら、使うこと以外にはないでしょう。これは屋根を金属で葺くのと、まったく同じ話です。 階段といえば、手すりなども鉄で作られることがあります。ふつう、手すりといったときは、アルミ製をさすことが多く、それは雑工事で述べますが、鉄製の手すりもあります。アルミ製の手すりは、完成した既成品として売られているのに対して、鉄製の手すりは、どんな形にでも作れる鉄の特性を生かして使われます。ですから、うまく適合するアルミ製の手すりがないときに、作られるわけです。 また、ベランダも、今ではアルミ製のものがあって、かなり自由に作られています。しかし、ついしばらく前までは、アルミの成型が自由にならなかったので、ほとんどが鉄製でした。今でも、少し変わったベランダを作ろうとすると、アルミでは対応できず、鉄製ということになります。鉄は、部材としての定尺はあるものの、切断や溶接が自由になるため、どんな形にも作ることができます。 何度も言うように、鉄は錆びますから、外部に使うときは、必ず塗装せねばなりません。ふつう、鉄の塗装は鉄の地肌に、まず錆止めを塗ります。これにもいろいろあって、すぐ乾く錆止め塗料もあります。しかし、塗装工事のところでも述べたように、錆止めは鉛丹です。鉄の地肌に、鉛丹という塗料を塗るのですが、錆止めは鉄鋼所で塗られてきます。ですから、よほど事前に注文しておかないと、現場に搬入されたときは、すでに他の錆止め塗料が塗られている仕儀に陥ります。 錆止め塗料はすでに塗られたものとして、次に話を進めると、ここで着色ということになります。ふつう再塗装の際には、錆止めまで塗り替えることはなく、錆止めの効きがまだ生きている状態で、再塗装されます。ですから再塗装は、着色のためのペンキ塗りということになります。 鉄を使ったものは、屋外にはたくさんあります。本当はこれらの小さなものにも、再塗装すべきなのでしょうが、なかなか目が行きとどきません。小さな鉄製品は、壊れたら取り替えるとしても、階段や手すりはそうはいきませんから、まめに塗装することです。木造住宅の中では、鉄を使うのは本当に少ない部分です。しかし、現代的な建築は、ますます複雑な要素が入り込んでくるので、鉄の利用は増えてくるでしょう。 室内の壁と屋外の壁の分離が、大発明だと言いましたが、このおかげで可能になった工事があります。それは断熱工事です。内外の壁が一体化していると、その間には何も入れることができず、壁自体の断熱性能が、そのまま家の断熱性能になってしまいます。内外壁の分離により、その間に断熱材を入れて、壁の断熱性能を高める工夫がなされるようになりました。 断熱性能は、壁だけを問題にしてもあまり意味はありません。断熱とは家から熱が逃げるのを防ぐことですから、家のどの部分から熱が逃げるかを押さえておく必要があります。1.窓、2.壁、3.天井、4.床が、部屋を取り囲んでいますが、もっとも熱の逃げやすいのは1.窓です。カーテンを閉めると、部屋が暖かいように、窓の断熱をまず考えるべきです。それが最も簡単に断熱性能を上げる方法です。 窓の断熱の話に行く前に、窓をつける場所の検討が必要でしょう。北側に大きな窓をつければ、どうしても冬は不利ですし、西側に窓をつければ夏には不利です。かといって北側につけないと、通風が取れませんから、南の窓は大きく、北の窓は小さくと言うのが原則でしょうか。西の窓は、熱的には良いことは何もありません。窓の位置の検討は、設計段階でするものですから、本論ではそれは終わったものとして話を進めます。 窓の断熱は、断熱サッシと呼ばれるものを使うこと、2重サッシにする方法があります。関東地方では2重サッシにするより、断熱サッシを使うほうが多いようです。というのは、2重サッシは開け閉めが不便ですから、断熱性能は少し落ちても、断熱サッシを選ぶことになるようです。2重サッシは、普通のサッシを2枚建て込むことですから、断熱性能も2倍になりますが、工賃も2倍材料費も2倍です。 断熱サッシは、ペアーガラスという2枚ガラスが入っており、金属部にも断熱材が裏打ちされています。そのため、1重のサッシと同じ使い勝手でありながら、2倍近い断熱性能があります。値段も1.5倍くらいですから、寒さがそれほど厳しくない関東地方以南では、便利な製品です。しかし、断熱サッシは最近の製品ですから、あまり種類が多くなく、大きさが限られています。また、ガラスが特殊なため、切りつめなどの加工が高価になります。そうは言っても、断熱による冷暖房の低減は、家の維持費の低減となってきますから、断熱サッシはたくさん使われるようになりました。 新築の住宅では、断熱サッシを使い、外には雨戸、室内には障子を建て込めば、相当高い断熱性能が実現できます。これが定番の仕様でしょう。これ以上断熱性能を上げるためには、見返りの断熱性能に対して投資金額が膨大になり、現実的な話ではありません。 壁の断熱です。室内は石膏ボードにクロス仕上げ、外壁はモルタル塗りでは、熱は簡単に逃げていきます。そこで、壁の中に断熱材を入れるようになりましたが、この工事は最近生まれたものであるため、おざなりにされているようです。通常はグラスウールというふかふかした断熱材を入れるのですが、隙間なく入れなければならないにもかかわらず、きちんと入ってない例が多いようです。匠研究室では、グラスウールを使わず、スタイロフォームを使っています。 グラスウールは柱の厚さを利用して外壁と内壁の間に入れるのですが、スタイロフォームはボードですので間には入りません。そこで、まず柱の外側にラワン合板(コンパネ)をはり、それにスタイロフォームを張り付けます。匠研究室が使っているのは、50ミリのスタイロフォームです。その上に透湿シートを張り、その上から外壁下地となるものを、長い釘でスタイロフォームを貫通して固定します。 柱の面から見ると、コンパネ(12ミリ)+スタイロフォーム(50ミリ)+透湿シート(0.2ミリ)+壁下地(15ミリ)+外壁(約15ミリ)となります。これは強力な断熱壁ですが、厚さが12+50+0.2+15+15=92.2となり、サッシの厚みである70ミリを越えてしまいます。そこで、サッシを取り付けるときに、窓まわりにあらかじめ40ミリ程度のふかし材を打ち付けておきます。そうしないと、窓廻りがおさまりません。 天井にも断熱材を入れますが、最上階だけです。上にもう1階あれば、遮音材は入れたほうが良いでしょうが、断熱材は入れる必要はありません。もし最上階であれば、天井面いっぱいにグラスウールを敷きつめます。そして、屋根面にも断熱材を入れます。屋根面の断熱は重要です。壁の時と同じ方式で、垂木(たるき)の上にスタイロフォームを並べ、その上から長い釘でコンパネを固定します。もしくは、垂木のあいだにスタイロフォームを落とし込みますが、これはきちっと入れるのが難しく、もし透いてしまったら、発泡性の断熱材を吹き付けてふさぎます。 屋根裏の断熱は施工が難しいのですが、必ずやっておきます。でないと、せっかく高価な断熱サッシを使った意味がありません。そして、忘れてならないのが、小屋裏つまり天井上の換気です。夏は断熱をしても、小屋裏には熱がこもりますので、換気扇などを使って積極的に小屋裏の熱気を逃がしてやります。冬でも小屋裏は暖かいものです。その熱を逃がす手はありません。そこで、小屋裏の熱を床下へとダクト引きして、1階の床を暖めるのに使います。 最近では、基礎の形式が布基礎からベタ基礎へと変わってきていますが(基礎工事参照)、ベタ基礎の上にスタイロフォームを敷き、その上にコンクリ−トを80ミリほど打ちます。これは蓄熱のためのもので、冬に小屋裏から引いた暖かい空気をこのコンクリートへと吹き付けます。すると昼間の内にコンクリートは暖められ、夜になるとその熱をゆっくりと放熱してくれますので、暖房の補助になると言うわけです。 床の断熱は、蓄熱層を作った場合は、蓄熱層と地面の間で、蓄熱層を作らなければ床面でします。床は人が歩きますから、根太の上にスタイロフォームを敷くことはしません。根太と根太のあいだに断熱材を落とし込み、床材は根太に直接固定します。この場合も、隙間は発泡性の断熱材できちんとふさぐべきです。 断熱と言うことは、部分で考えるのではなく、家全体で考えるべきです。簡単に言えば、室内を断熱材ですっぽりとくるむことです。この時に、すべての部位で同じ断熱性能が出るように、調整すべきでしょう。隙間をつぶし、魔法瓶のような室内を作ると考えて下さい。断熱性能が上がってくると、空気の流通が悪くなりますから、必ず換気設備を設けなくてはいけません。それを怠ると、室内に空気がよどみ、カビがはえたりします。 今まで述べてきた工事の範囲には、どうしても入らないものがあります。たとえば、下駄箱とか、厨房の流しとか、作り付けのタンスとかいった物は、今までの工種には、分類しきれません。そうは言っても、作るのには誰かが作り、いくらかのお金は必ずかかります。とすれば、どこかに計上しておかなければ、総工事費をおさえる上で、困ったことになってしまいます。そこで、どこにも分類できないものばかりを集めて、一つの項目たてました。それがここでいう雑工事です。 雑工事といっても、雑にする工事ではなくて、種々雑多な工事という意味です。それには、おおよそ次のような物があります。 一.厨房セット−システムキッチンかユニットキッチンか 厨房の流しのセットからいきましょう。ご存じのとおり、最近はシステムキッチンなるものが流行っています。おかしなことに、システムキッチンではない厨房セットの名前は、今まで存在しませんでした。普通の厨房セットには、名前がなかったのです。厨房セットといえば、それしかありませんでしたから、取り立てて名前を付けなくとも、よかったわけです。 システムキッチンが、大々的に宣伝してきたために、今までのキッチンセットにも、名前をつけざるを得なくなりました。そこで、今までのキッチンセットは密かに、ユニットキッチンといわれるようになりました。これはツー・バイ・フォー工法が、大々的に宣伝したために、今まであった普通の建築が、仕方なしに在来工法というのと同じです。ユニットキッチンといい、在来工法といい、守りにまわった方はなんだか元気なく見えます。 ユニットキッチンも、システムキッチンもつまるところは、洗い場と、調理台と、ガス(電気の場合もある)台の三点を基本構成とします。この三点に、収納を加えたものが厨房の必需品です。ユニットキッチンの場合は、この三点がバラバラの状態で完成されており、それを厨房に据え付けるだけです。三点がすでに完成されているため、相互間には連結されません。ですから、いくら三点の間をくっつけておいても、密着するわけではありません。そのわずかの隙間から、物は落ちませんが、水はこぼれてしまいます。 ユニットキッチンと、システムキッチンの最大の違いは、甲板が一つながりかどうかです。ユニットキッチンでは、どうしてもいくらかの隙間ができてしまいますから、そこには銀色テープを貼ってつなぎます。しかしそうしても、もともと別の物ですから、下の部分では多少の隙間が空いてしまいます。そこがゴキブリの格好の隠れ家となって不衛生だ、というのがシステムキッチン派の言い分です。 この隙間だけでなく、厨房には無限のゴキブリの隠れ家があります。システムキッチンにしたから、厨房にゴキブリがいなくなるなんてことは、考えられません。ですから、衛生上システムキッチンの方が有利だからではなしに、外観がきれいだからシステムキッチンが、選ばれているのだと思います。それはちょうど、設計者が美しい住宅をデザインしようと、躍起になっている姿とよく似ています。デザイン至上主義は常に、機能主義の影に隠れて、生き延びてきました。デザインにお金を投じる設計者であれば、システムキッチンを選ぶ人を、批判できないように思います。それは、外観を大切にするという意味で、全く卵生の双子だからです。 システムキッチンは、もはや雑工事にくくれないくらいの金額です。たとえ、小規模なシステムキッチンでも50万円位しますから、総工事費が1千万円の住宅であれば、その5%に相当します。これは、次に述べる電気設備工事費の総額にも匹敵し、けっして安い金額ではありません。 システムキッチンは厨房だけに投資するのですから、なんだかバランスを欠いている、と感じられて仕方がありません。それでなくとも、厨房つまり水廻りにはお金がかかります。こうもシステムキッチンといわれると、それがおいしい食事でも作ってくれるのかと、不思議な感じに襲われます。 システムキッチンを選ぶにしろ、ユニットキッチンを選ぶにしろ、これらは工業製品ですから、カタログやショールームがあります。厨房の広さは、その厨房で何人が働くかによって決まりますが、同時に、厨房セットの配置も一考しておく必要があります。カタログを見ながら、おおよその配置計画と平行して、厨房の設計は進みます。 通常、厨房の排気はガスコンロの上にあるレンジフードでおこないます。これは厨房のセットに揃っています。しかし、この方法ではきわめて不完全な排気しか行えません。しばらくすると台所中が、何となく油でベタベタしてくるのは、周知のとおりです。これは、レンジフードが完全に排気をしてないからですが、しかたないと半ば諦めていたところがあります。 有圧換気扇を使った排気方法を見つけてからは、画期的に改良されました。板金屋にフードをつくってもらって、その中に有圧換気扇を組み込むだけなのですが、強力に排気します。(ハイキエースとして商品化もされている)吸い込み口をつける位置が問題で、ガス台から40〜50センチくらいがちょうどいいようです。このあたりは、何回か失敗しながら、ノウハウを蓄積してきました。うまくできたこの排気システムは、スイッチを入れると、立ち上る煙がそのまま吸い込まれていくのが見えます。その吸引力には、驚くばかりです。ただし、使わないときには、ここを経由して外気が逆流してきますので、必ず蓋をつけることです。 次に、作り付けの家具について考えてみましょう。ところで、建物に固定されていない、通常の家具については、建築の進行と平行して新しい家具を買ったり、または古い家具を持ち込んだりするわけですから、建築工事の範囲外と考えていいでしょう。別名、造作家具とも呼ばれる作り付けの家具工事には、次のような物があります。 A.堀コタツ、洗面化粧台、マントルピース、 暖炉 A、Bと分けたのは、作り付け家具の中でも、二種類に分けて考えることができるからです。Aに分類されているものは、建築と一体となって初めて機能するものです。しかし、Bは単独でも機能するものという意味で、少し性格が違います。 こたつは、電気式の置きゴタツもありますが、堀ゴタツとなると、床に細工をしなければなりませんから、建築工事の範囲内といえます。以前は、堀ゴタツをつくるのは、大工事になって床下にブロックを積んだり、櫓をくんだりと手間がかかりました。そのうえ、コタツの上にのせる板は、現場製作では完璧なものは作れなかった、といっても過言ではありませんでした。というのは、コタツの中で火を使うため、その熱の影響が上の板まで及んできて、どうしても板が反ってしまいやすかったのでした。そのため、周囲に框を回したりしたものを作ったりして、なんとか熱の影響から逃げようとしていました。しかし、それでも完璧ではありませんでした。 メラミン樹脂などの登場によって、下から熱であぶられても、反らない板が売り出されてきました。コタツ板の決定版の登場です。それと同時に、堀ゴタツ自体もユニット式となってきました。つまり、床下にはいる部分も、メラミン樹脂で一体成型された堀ゴタツが、市販されてきました。今日では、このユニット式の堀ゴタツが普及しており、現場製作の堀ゴタツは、もう作られていません。ユニット式の方がずっと安く、施工も簡単なのですから、現場製作ものは駆逐されてしまいました。 ユニット式堀コタツは、夏コタツを使わないときは、櫓(ヤグラ)をコタツの中へしまえるのですから、あの大きな櫓をどこへしまうか、悩まなくてもよくなりました。ユニット式の堀ゴタツ(800×800)は、材工共でだいたい15万円くらいでしょうか。これには、コタツ布団は入っていません。 洗面化粧台も、以前は、現場製作しかありませんでした。ところが、ここでも最近は、ユニット式が増えています。ユニット式は大量生産によっていますから、普及品の品質が向上したわけです。しかし、いろいろと注文をつけて、自分好みのものを作ろうとすると、やはり現場製作しかありません。大量生産は安価にできますから、ユニット式は現場製作にくらべて安価です。 一時、マントルピースなるものが流行りました。それは暖炉のような格好をしているけれど、火を燃やすのではなしに、中にストーブをいれて暖をとります。と同時に、暖炉のような、なんとなく豪華な雰囲気を、楽しもうという設備です。最近では、余り見かけなくなってきています。 最近、暖炉も人気がでてきました。部屋の飾りとしては素敵ですが、これで暖をとるとなると、少し疑問です。というのは、暖炉の裸火を毎日管理するのは、すこぶる大変な作業です。薪をどうするか、外出の時には火をどうするかなど、難問があります。それを承知で暖炉をもうけるのであれば、それはとてもユニークな飾りです。暖炉は囲炉裏と違って、煙を外へだしますから、油煙で家中が真っ黒ということはありません。最近では炉壇の部分がユニットになっているものもありますから、こうしたものを使えば、暖炉はよく燃えます。暖炉は暖炉それ自体以外にも、耐火にする建築工事もかかり、全体ではかなりの出費(最低でも100〜150万円)になります。 いままで述べたAに属するものは、建築と一体にならなければ機能しませんから、それを単体で買ってきても使えません。それに反して、Bに属するものは、単体でも機能しますし、また単体でも市販されています。実は、ここが問題です。単体で市販されているということは、それだけで完結しているということです。 家具とは本来どんなものだったのでしょう。椅子やテーブルが家具の代表でしょうが、人体が使用するこうした種類の家具と、物を収納するためのタンスのような家具があります。両者とも家具としてみれば、おなじなのですが、建築しかも日本の建築からみると、多少その趣が異なります。 椅子やテーブルは、床や壁という建築に固定しては困りますが、収納する場所としてのタンスは、建築として、固定しても構いません。事実、日本の家には、押入という大変便利な、建築化された収納装置がありました。日本の家には、押入があったために、あらためてタンスを用意しなくてもすみました。押入というのは、建築工事として、作られていることにお気付きでしょうか。家具は、あくまでも家具職人の分野であって、建築工事の分野ではありません。 西洋の家づくりを見ていると、収納のための場所を、建築工事に組み込んでいるのは、少ないように感じます。西洋の部屋には、日本の押入に相当するものはありません。そこで、収納のための家具つまりタンスが、どうしても必要になってくるわけです。毎度言いますように、戦争によって国境が移動してしまう地方に住む人たちは、土地や家には執着できません。彼らには、自分たちが持って移動できる家具こそが、大切な財産でした。こうした地方では、作り付けの家具という考え方は、なかなか発生しませんでした。 建築に投入される労働密度と、家具に投入される労働密度では、雲泥の開きがあります。そのため、家具を建築化してしまうと、家具が安っぽくなるか、建築がとてつもなく高価になってしまいます。そこで、西洋では家具は家具として、独自の発展をします。ところが、日本では建築に対する思い入れと、家具に対する思い入れが、同じ重さであるため、家具を建築化したら、便利であると言う考えを生みました。それが、ここで言う作り付けの家具です。ですから、作り付けの収納家具は、日本の押入から発展したのかも知れません。 収納の用にたつだけであれば、単体の家具でも充分です。作り付けであろう単体の家具であろうと、役に立つのはおなじです。単体で市販されている家具は、工場生産とすることが出来ますから、大量生産されて、必然的に安価になります。かつては、家具職人を建築現場までつれてきて、作り付けの家具を作ったりもしました。しかし今日では、それはとんでもない手間賃がかかってしまい、なかなか出来ません。そこでここにも、ユニット式の作り付け家具が進出しています。安いものでは、押入の一部をつかった収納家具から、システム・ファニチャーと呼ばれる、高価な作り付け家具まであります。 匠研究室と言えども、Aについては、当然作ります。しかし、Bについては一考を要すと、思います。と言うのは、家具としての用を足すだけなら、単体の家具を買った方が、圧倒的に安いのです。両者の最大の違いは、ここでも外見の格好の良さです。作り付けの家具は、いわばオーダー・メイドですから、どうしても高価になってしまいます。 もしローコストの家を考えているなら、作り付けの家具は、採用しないことを勧めます。また、坪40万円だ、50万円だという単価の話に、作り付けの家具を含めてしまうと、それは参考値にすらならなくなってしまいます。ですから雑工事の範囲を、どこまで建築工事としてみるかによって、予算わけは大きく異なってきます。 古い日本の住宅を見てみますと、部屋には何もなかったように思います。六畳は六畳の部屋としてあって、六枚の畳が全部見えていました。大金持ちの家はともかく、庶民の家には、大した家具などありませんでした。では庶民は、何も持っていなかったのかというと、決してそうではありません。少ないながらも、多目的に使える便利な家具を使っていたのでした。畳の上の茶袱台は、融通無礙な使い方の出来る家具だったのです。それに、和風の生活様式しかありませんでしたから、洋服タンスも不要、テーブルも不要といった具合いで、家具らしい家具がなくても、充分に生活ができました。 防腐処理・防蟻処理は、建て方工事の直後に行います。かっては、家の作りが隙間だらけだったので、家にとっては自然に通気がとれて、腐りにくかったのです。しかし、家の気密性をあげると同時に、壁のなかや床下の通気性も減少してしまいました。そのため、木材にとっては過酷な状態になって、どうしてもむれて、腐りやすくなってきたわけです。また、通気が悪いことは、白蟻の繁殖に、都合の良い環境というわけです。今日では、薬剤を注入して、これらの処理を行います。ただし、根子を入れれば、防蟻処理は不要なことが多い。 二階の外には、ベランダがほしいという希望もでます。建築の構造にベレンダを組み込むことは、雨漏りの原因になり易く、格好は悪いのですが、外付けのほうが無難ではあります。雨仕舞だけを考えれば、外付け、後付けが一番です。最近では、アルミ製のベランダが市販されており、これを使うと便利です。幅90センチ、長さ3.6メートルで、20万円くらいでしょうか。 |
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| 「タクミ ホームズ」も参照下さい | ||||