時代認識の構造

 当サイトでは、「近代」とか「近代化」という言葉をしばしば使いう。「近代」の使われ方は様々あるが、当サイトでは16〜7世紀に西ヨーロッパで始まった工業社会を、近代社会と考えている。だから、前近代・近代は産業構造の別称でもある。そして、情報社会に入ろうとする今、近代が終了しつつあると考えている。

 近代とはたった4〜500年くらいの歴史しかなく、人類の歴史の99.9%は、農業を主な産業とする前近代だった。そして、今でも、近代社会を実現しているのは、西洋諸国とアジアの一部の地域しかなく、前近代に生きる人のほうが人数は多い。そのなかで、先進国は情報社会にはいるが、前近代を胴体とし後近代を頭とすれば、近代とは前近代と後近代にはさまれた首の時代だと思う。

前近代 近代 後近代
特性 静的社会:本質指向
没個性
動的社会:関係指向
無形のもの
産業 農耕社会 農耕社会から
工業社会へ
工業社会 電脳文明の
誕生
情報社会
労働 肉体労働=肉体優位
機械的大量生産
頭脳労働=頭脳優位
価値 金銀(重量)
紙幣(時間)
信用(独創)
文明 人力文明 産業革命 機械文明 情報革命 電脳文明
生活 群れの生活
対の生活
個の生活
生死 多出産・多死 衛生改善 乳幼児死亡率低下 長寿化 少産・少死
人口 ゆるい微増
激増
ゆるく減少
時間 地域ごと
季節で変わる体感時間
昼間生活中心 世界標準時間
均質な共通時間
24時間生活 単位ごと
伸縮する非線形時間
家族 大家族 男性の解放 核家族 女性の解放 単家族
年齢 加齢に価値あり 敬老の低下 若者=正義 老若平等 年齢価値の無化
性愛 男色(ホモ)の肯定 ホモの否定 ゲイの誕生 ユニセックス ゲイの肯定
心性 属性の支配と
有意味の世界
ニュートン 論理(=科学)の
誕生と普遍化
アインシュタイン 意味の喪失と
仮象の世界
観念 主観の支配
=事実と願望の未分離
カント 共同主観or間客観
客観の支配
=事実と願望の分離
神性 神の意志
人間意思の不在
神殺し
父殺し
人間愛の誕生 母殺し 神の不在
人間意思の支配
思考 信の持続 ヒューマニズム 信の動揺→思考中断 フェミニズム 信の中断→継続思考
判断 記憶による経験則 学校の誕生
生涯学習 電脳による経験則
規範 形式の尊重
(形式=内容)

公私の分離
内容の尊重
(形式≠内容)
存在 身分制と敬語の使用 身分の無化 市民の誕生
個人の確立と丁寧語
社会的な現象形態
生活形態 土地に密着
床座:躄姿作業)

女性がパンツをはく
土地から離れる
(椅子座:立姿作業)
労働対象 土地(自給自足) 生産力に限界 物(市場交換) 無限の生産 知識(通信媒介)
支配手段 暴力&人治
金銭
欲望&法治
懲罰形式 懲罰的肉体刑
肉体拘束の教育刑
マインド・コントロール
戦闘組織 傭兵
徴兵(国民国家)
志願兵
教育方法 反復的記憶 教科書の登場 理念の注入
ひらめきの誘発
宗教形態 原始宗教、ヒンドゥー
仏教、カソリック、
イスラム
ルター プロテスタント、天皇制
コミュニズム、開発独裁
オーム真理教
など
ニヒリズム
アナーキズム
生活空間 個体間距離=小


個体間距離=大
論者の違いによる時代名称
テンニース 共同社会
ゲマインシャフト

利益社会
ゲゼルシャフト

ウェーバー 伝統的社会
資本主義社会
ボルケナウ 封建的社会
市民的社会
トフラー等 農耕社会
(狩猟採集社会)

工業社会
情報社会

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