H邸の新築工事                
第 17 回   8月25日記  基礎工事−その3:台風襲来

基礎はお天気次第
 

 お盆休みも終わった月曜日は、8月19日である。今日は基礎のコンクリートを打設する予定だった。コンクリートの打設は、まず生コン工場の予約から始まる。それも今日のあしたでは、工場が受け付けてくれない。何日か余裕をもって、生コンの数量や種類とともに予約を入れる。そして、ポンプで打設するときは、ポンプ車も予約する。また、人手がかかるので、人数もそろえなければならない。
 基礎の端部を横断するパイプ類(打設前)
コンクリート打設後、真中から上が立上り部分

 すべての手配をして、待った月曜日には、なんと台風が来た。いろいろと手配しているので、少々の雨なら強行するのだが、さすがに台風には勝てない。泣く泣く中止である。幸いなことに翌日に順延できたので、コンクリート打ちは翌日になった。

 当初、このコンクリート打ちはポンプ車を使うつもりだった。少し離れた道路にミキサー車を止め、ポンプ車をかませて、パイプ経由で現場へとコンクリートを運ぶ計画だった。図々しくも、隣家のLさんの敷地を横切らせてもらうつもりだったのである。というのは前回の擁壁工事の時にも、Lさん宅の敷地はしにパイプを通させてもらったし、工事前の挨拶の時も、いたって友好的だったので、今回もまったく図々しく気軽に考えていた。

 しかし、現場監督が許可をもらいに行くと、返事は<ノー>だった。現場監督からは話が違うと文句を言われるし、監理者が事前に話をしにいって、丁重にお願いすべきだった、と反省しきりである。敷地に接する道路が狭いので、ポンプ車やミキサー車を止めると、交通の妨げになる。そこで人力にたよって、コンクリートを打つことになってしまった。

 通称ネコとよばれる1輪車に、コンクリートを受けて、それを現場まで押していくのである。ポンプ車を使えば、2〜3人程度ですむのだが、人力作戦だと5〜6人程度は動員しなければならない。今回は5人確保したようで、予定外の出費になってしまった。現場監督が文句を言うのも無理はない。

 機械が使えれば、人件費は安くなるから、工事方法の検討は重要である。見積を査定するときには、もちろん工事方法も検討する。しかし、予定外の工事方法になったとしても、追加のお金は出ない。現場監督は、厳しい予算の現場では、お金に苦労するのが常である。

 そんな顛末がありながらも、20日には無事コンクリートが打ちあがった。今回打った部分は、ベースと呼ばれる部分で、木造住宅ではコンクリートの使用量が、もっとも多い部分である。ベースのうえに基礎の立ち上がり部分の型枠を組み、2度目のコンクリートを打って、基礎は完成である。

 20日にベースコンクリートを打ってから、乾燥のために中1日置く。そして、型枠を立てる位置に墨を打ち、それに従って型枠をたて込んでいく。現場での作業は分担されており、墨を打つのは現場監督の仕事、型枠を組のは型枠大工の仕事である。木造住宅では基礎の部分が終われば、これ以降コンクリート仕事はない。基礎の上に土台をのせて、あとは骨組みがのるのを待つばかりである。

「タクミ ホームズ」も参照下さい
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