H邸の新築工事                
第 21 回   10月10日記  外壁ができる−サッシがつく

外壁ができる
 

 屋根が葺けると、次は外壁をまとめていく。在来工法では、建物を濡らさないように、屋根を葺いたら、次には外壁で囲いをつける。もちろん、それにはサッシが入らないと、内外の区画ができない。サッシがつけば、多少の隙間があっても、家らしくなってくる。

 ビル用のサッシは、すべて特注ですが、木造住宅のサッシは既製品です。設計の時に選んであったサッシが、現場に搬入されて、取り付けられていきます。サッシ周りから雨が漏ることは、最近では少なくなりましたが、やはり要注意の箇所でしょう。とりわけ、屋根の出や霧除け庇がないときは、雨がサッシに直接にあたりますので、過酷な条件になります。

 かつては窓の上には、かならず霧除け庇をつけたものですが、格好が悪いということで、最近は省略されることも多いようです。以前は匠研究室でも、霧除け庇を省いたことがありましたが、今では原則として付けることにしています。ただ、このH邸では外張断熱を採用していますので、霧除け庇を付けてしまうと、そこが断熱切れになってしまいます。

 外張り断熱の時は、霧除け庇は後付にしています。普通は真柱などから腕木を出して、庇の芯とするのですが、それだと断熱・気密が切れてしまうので、まず断熱材を張ってしまいます。そして、その上に胴縁をながし、4寸程度の長い釘で胴縁の上から、真柱に力板を固定します。この力板に庇をからめて、工作していきます。

 本来であれば霧除け庇は、断熱材のように柔らかい物をあいだに挟まずに、真柱などにがっちりと固定したところですが、高気密・高断熱では仕方のないところでしょう。ですから工事中、霧除け庇に足などかけないように、注意します。しかしもちろん、台風で飛んでしまうといった心配はありません。

 さて、このH邸では、屋根裏と床下の空気を、夏冬で入れ換えることを考えています。夏は床下の空気を屋根裏に送り、冬は屋根裏の空気を床下に送ろうというわけです。少しでも夏は涼しく、冬は暖かくしようという、小さく健気な工夫です。設計段階では、換気扇を夏冬で逆回転させるつもりでしたが、換気扇の逆回転が意外に困難でした。

 直径200ミリのダクトで上下を結ぶ計画を変更して、100ミリのダクトを2本立て、それぞれ夏用・冬用とすることにしました。200ミリと100ミリでは、断面積は4:1と違いますが、空気の早い流速は必要ないので、100ミリでもいけるのじゃないかと思います。(流速を早くすると、埃を舞い上げる危険性がある)

 1階の床板も張られた現在、写真のようにダクトが完成しています。このパイプダクトの入り口に、パイプファンを付けて、空気を動かそうというわけです。自然の空気量は大きく、小さなパイプファンで、はたしてどのくらいの効果が出るか、ちょっと疑問もありますが、大した金額ではないので、実験してみる価値はあります。
「タクミ ホームズ」も参照下さい
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