H邸の新築工事                
第 27 回   1月2日記  続・近隣との付き合い−トンデモの近隣者たち

近隣との付き合いは続く
 

 14日と15日の土日をつかったH邸のお披露目は、とても好評だった。太陽光発電の話題性もあってか、30人近くの人が訪れてくれた。外観はまったく普通の家だが、一歩中へ入ると、明るく気持ちの良い雰囲気に、多くの人たちは驚いたようだった。土日と2度にわたっておいで下さった方もいた。
ブロックの脇に穴が見える オートバイの先に差しかけ

 ところで話は前回に戻る。道路際のZさんは、なんとHさんの敷地内のことにまで、口を挟んできたのである。境界に立つブロック塀の問題は、前回報告したが、その後、Zさんの発言はブロック塀を超えてきた。

 右の写真は、前回も掲載したが、地面が舗装されているのに気づかれただろうか。この舗装については、前出のLさんと再び揉めたが(それについては後述する)、この工事に入る前は未舗装で土が見えていた。

 建物が新しくなっただけでは、もちろん不充分である。道路から玄関への道も、きれいにしたくなるのは当然である。我々もドロドロだったこの通路を、引き渡し前には舗装するつもりだった。

 「平坦に」というHさんの希望を入れて、簡易舗装を選択したわけだが、オートバイや自転車の駐輪場のために、差仕掛けを作りたいという希望もだされた。そこで、差しかけの足を固定するために、舗装する前に予備穴を設置することにした。(上右の写真のブロックに沿って、茶色い小さな○が並んでいるのが、予備穴である。)

 すると、その過程を見ていたZさんは、そこに穴を掘ってはいけないと言いだしたのだ。Hさんの敷地内であるにもかかわらず、指図をし始めたZさんに、施工者は狐につままれたらしい。困った施工者は、匠研究室に電話をかけてきた。もちろん、Zさんの指図は無視して、工事を続行するように返事をしたのは言うまでもない。

 後で聞くところによれば、駐輪場の仕様についても、あれこれと指図をしたという。いったい何の権利があって、Hさんの敷地内のことにまで、口を挟むのだろうか。Zさんの敷地にはみ出しているというならともかく、駐輪場はHさんの敷地内のことである。まったくもって、理解を超えてる人たちである。Zさんに関しては、他にも懸案があるのだが、それはいつか書こうと思う。

 話は戻って、Lさんとの話である。右の境界石を取り除いてもらったのは、続・敷地境界問題で報告した。それから2週間後、我々はこの通路を舗装することにした。この敷地はHさんのものだし、いつまでもドロドロのままでは、新しい家に泥を運んでしまう。舗装をかけようと、工事を段取っていると、どこからかLさんが現れたらしい。施工者から電話が入った。

 「上の方が文句を言っていますけど……、電話かわります」と、現場監督はいかにも困った風である。キンキン声のLさんが、「おたくの思うつぼじゃないですか。わたしは許しませんから」と、携帯電話でがなり立てた。「このままでは、歩くにも不便ですから」と応えると、Lさんはそこで電話を切ってしまった。

 境界杭を撤去させられたのが、腹にすえかねているらしい。自分の主張が通らなかったことに、立腹しているようだ。勝手に境界杭を設置してしまう強引なLさん、この境界問題は、これからも尾を引きそうである。

 今ではHさんも、新居に引っ越されているから、こちらも近隣の人たちと堂々と渡り合えるが、工事中はとにかく立場が弱い。それを良いことに、近隣の人たちは勝手な言い分を押しつけてくる。しかし、工事もここまで来れば、すでに山を越えている。隣近所仲良くしていきたいのはもちろんだが、あまりにも理不尽な対応が目立った近隣者たちだった。

 巷間では若者の傍若無人ぶりや、世間知らずが取りざたされるが、この近隣者たちは皆そろいもそろって良い大人、いや高齢者たちである。唯一普通の対応だった西南の隣接者は、近隣者のなかではもっとも若く、30半ばだったろうか。境界問題などを見ていると、問題は年寄りたちにあると思えて仕方ない。
「タクミ ホームズ」も参照下さい
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