H邸の新築工事                
第 28 回   2月11日記  完成引き渡し

完成引き渡し


 完成引き渡しとは、一種に儀式である。設計事務所によって、すでに完成検査が行われ、ダメ直しといった修理も終わり、発注者である建築主に建物を引き渡すのである。実はこの日までは、建物の所有権は施工者にあった。(工事中から少しづつ所有者に移るという説などの別説もある)それを、名実ともに建築主に所有権を移し、建物管理も施工者の手を離れる。したがって、この日をもって施工中の火災保険が切れ、建築主が独自に火災保険をかけることになる。

 引き渡しは、無事に建物が完成した証でもあり、施工者はもちろん設計監理者にとっても、嬉しいものである。引き渡しは、日時を決めて、施工者、設計監理者、そして、建築主の立ち会いの元に行われる。まず、建物を一巡し、各部屋や設備の説明をし、取り扱い方を理解してもらう。最近の住宅機器は、コンピュータが埋め込んであるので、使うのにもちょっとした慣れが必要で、しばしばとまどいもする。

 それがすむと、書類の交換になる。これがまた大量の書類が出され、建築主は大いにとまどうことになるが、契約社会のゆえに仕方のないことだろう。その中身は下記のものである。

1.建築許可通知書
2.建築確認副本
3.資格証明書(東生建設株式会社)
4.印鑑証明書(代表取締役:城田和明)
5.建築工事完了引渡証明書
6.建物滅失証明書
7.印鑑証明書(施工者:西川新吉)

8.鍵リスト
9.協力施工業者一覧
10.仕上げ材リスト
11.緊急連絡先
12.残金精算書
13.取扱説明書や各種保証書
14.残工事リスト(外構などが残れば)

 今回は、郵便ポストの取り付けと、特殊なガラスの納期が間に合わず、2点の工事が残ってしまった。地鎮祭が始まりの儀式だとすれば、出来祝いという完成時の儀式があったが、完成引き渡しはそれに代わる終わりの儀式だろう。

 ここで工事代金の90%が支払われるが、これで終わりではない。1ヶ月後の検査を終わって、最終支払いとなり、契約関係はすべて終了する。
「タクミ ホームズ」も参照下さい
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