実施設計はお金との格闘である
約1ヶ月にわたって、施工のための図面を描いてきた。途中、役所への確認申請もだした。毎週火曜日には、Hさんのお宅で定例の打ち合わせを行いながら、Hさんの希望とすりあわせを行ってきた。
実施設計が順調だったのは、Hさんの希望が明確だったこと、Hさんが前言を翻さなかったこと、設計者の提案を充分に検討してくれたこと、などなどの理由による。毎回持参する図面は、次回までにきちんと目がとおっていたし、的確な質問もいただいた。その結果、施工者に見積もりがとれる図面が、6月の終わりにはできあがった。
図面の一覧
設計概要:共通仕様書 |
1.案内図:配置図 |
2.平面図 |
3.室内仕上表 |
4.立面図(南東北西):筋違計算 |
5.矩計図:XX−1 |
6.矩計図:XX−2 |
7.矩計図:XX−3 |
8.基礎伏図 |
9.床伏図 |
10.天井伏図 |
11.2F床伏・小屋伏図 |
12.屋根伏図 |
13.階段詳細図 |
14.展開図−1 |
15.展開図−2 |
16.展開図−3 |
17.建具配置図 |
18.建具表−1 |
19.建具表−2 |
20. 建具表−3 |
21.電気設備図−コンセント |
22.電気設備図−照明スイッチ |
23.空調換気設備図 |
24.電気設備器具リスト |
25.給排水衛生設備図&器具表 |
26.外構図 |
今回は、施工者の選定にあたって、数社から見積もりをとることはしなかった。特命といって、1社にだけ見積もってもらう。もちろん信頼できる施工者だから特命にするので、匠研究室がこの建築会社のいままでの実績を高く評価しているからである。特命で見積を依頼した会社は、東生建設株式会社といって、多摩区の枡形にある地元の工務店である。その結果は、次の表のとおりである。さて、期待に応えてくれただろうか。
H邸新築工事見積書 工事金額の変更の根拠は表の下に列記しています。
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見積金額 |
見積減額 |
業者変更 |
査定金額 |
直接工事費 |
\24,403,000 |
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\20,895,077 |
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A.建築工事 |
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仮設(足場など) |
\984,000 |
*1 \204,001 |
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\779,999 |
基礎 |
\1,523,000 |
*2 \332,000 |
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\1,191,000 |
木工事 |
\5,359,000 |
*3 \211,520 |
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\5,147,480 |
左官 |
\483,000 |
− |
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\483,000 |
石・タイル |
\330,000 |
*4 \46,700 |
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\283,300 |
外壁(サイディング) |
\1,275,000 |
*5 \389,560 |
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\885,440 |
アルミサッシ |
\1,533,000 |
− |
*6 \1,285,160 |
\1,285,160 |
木製建具 |
\1,697,000 |
*7 \87,000 |
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\1,610,000 |
屋根・板金 |
\1,721,000 |
*8 \201,100 |
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\1,519,900 |
内装 |
\838,000 |
*9 \234,200 |
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\603,800 |
塗装 |
\629,000 |
− |
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\629,000 |
雑工事 |
\3,036,000 |
*10 \844,102 |
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\2,191,898 |
小計 |
\19,408,000 |
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\16,609,977 |
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B.電気設備 |
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幹線引き込み |
\315,000 |
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\315,000 |
コンセント |
\397,000 |
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\397,000 |
照明器具とも |
\528,000 |
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\528,000 |
電話配管 |
\47,000 |
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\47,000 |
インターホン |
\89,000 |
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\89,000 |
テレビ |
\303,000 |
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\303,000 |
小計 |
\1,679,000 |
*11 \200,000 |
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\1,479,000 |
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C.給排水設備 |
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給水 |
\268,000 |
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\268,000 |
給湯 |
\294,000 |
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\294,000 |
排水 |
\529,000 |
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\529,000 |
衛生器具 |
\817,000 |
*12 \162,900 |
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\654,100 |
ガス |
\143,000 |
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\143,000 |
太陽熱温水器 |
\647,000 |
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*12 \300,000 |
\300,000 |
小計 |
\2,698,000 |
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\2,188,100 |
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D.空調設備 |
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空調 |
\166,000 |
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\166,000 |
換気 |
\452,000 |
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\452,000 |
小計 |
\618,000 |
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\618,000 |
直接工事費:請負者が実際の施工者に支払う金額の合計で、これには請負者の
経費と消費税は含まれていない。
見積減額:請負者の提出した見積にもとづいて、不自然に高額なものの再検討や
仕様変更によって減額した金額
業者変更:請負者の使う業者では金額があわないときに、匠研究室の指定する
業者に変更して減額すること。
査定金額:以上の処理をして、匠研究室が適正だとみなす金額。
仮設−*1:外部足場の面積違い、現場での発生材処分費の減額
基礎−*2:コンクリート打設方法の変更によるコンクリート単価の減額、
木工事−*3:構造材の材積(木材の量)は変更せず、単価を下げた。
石・タイル−*4:石の単価を下げた
外壁−*5:仕入れ先の変更を示唆し、サイディングの単価を、平米あたり¥5900−
から¥4000−に減額した。
アルミサッシ−*6:網入りガラスで乙種防火戸とするのではなく、雨戸つけて防火仕様とする。
ガラスは2重ガラスのまま。仕入れ先の変更を示唆。
木製建具−*7:全体的に高額なので、下請け先の変更を検討してもらう。
屋根・板金−*8:平米あたり¥6000−から¥5000−へ、瓦棒葺きの単価の見直し。
内装−*9:布クロスをビニールクロスに変更(¥3000/u→¥950/u)
雑工事−*10:各種造作工事の見直し。日除けテントを別途工事とし、見積からはずす。
電気設備−*11:テレビの施工費が高いが、根拠なく工事費を下げるようにお願い。
給排水設備−*12:洋式便所の仕様変更。太陽熱温水器の仕入れ先の変更。
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