つれづれに     2003年1月

 2003年になったと思ったら、はや1ヶ月が過ぎようとしている。
ところで暴力の否定は、ほんとうに良いことなのだろうか。ナマの肉体的な接触を否定してしまうと、モニターの先でおきる壊滅的な破壊にも、無自覚になってしまうのではないだろうか。朝勝龍の優勝には、モンゴルの生活が裏付けになっているらしいが、肉体を疎かにはできないように感じる。

 男女平等の推進には、格闘技においても男女の壁をとりのぞき、男女混合で闘うべきだろう。一般競技は言うに及ばず、相撲・柔道・レスリングなども、男女別に闘うのは男女差別だと思う。すでに練習では、男女が闘っているのだから、試合をしても問題はないと思う。(2003.01.31)

 女子中高生が見知らぬ人とセックスすることを、中高生の約70%が容認している、という調査結果が1月23日の新聞に掲載された。どんな解放でも、その恩恵は後時代の人に享受されるから、女性解放の恩恵も、中高年女性ではなく若い女性たちが享受する。女子中高生たちの性意識が、自由になるのは当然である。

 ところで、これは警視庁の青少年問題調査研究会によるものであり、同時に警視庁は「出会い系サイトの法規制」調査も行っている。それによると、18歳未満との性交渉の勧誘を法律で禁止すべき、と答えたのは71.7%にのぼったと言っている。女子中高生がセックスを容認しているのに、警視庁はそれを禁止しようとしていると読めるのだが、警視庁の行動は、女性の性交渉の自由の侵害ではないだろうか。(2003.01.24)

 パート労働といえば女性の専門と思いがちだが、3人に1人が男性だと、日経新聞はいう。若い人にまじって中高年の男性も、パート労働についている。女性のパートが家計の補助であるのに対して、男性パートは自分の収入で暮らしている人が多いらしい。こうした事情で、家族を養えなくなった男性が家事に参入して、家庭内に新たな文化を吹き込む可能性を宿している、と鹿嶋敬さんの署名記事は楽天的にいう。

 この筆者は相も変わらず、空念仏のごとく男女平等をとなえる。なぜ男女平等なのかまったく考えない。しかも、1対の男女がつくる家族しか念頭にない。こんな時代認識で、記事を書いていて良いのだろうか。マスコミは遅れていると言われるが、この記事はそれを証明している。(2003.01.22) 

 農業という肉体労働では、腕力の多寡が生産性に大きく反映する。だから人類の長い歴史において、腕力に秀でた男性が女性に優位したとは、本サイトの基本的な主張である。腕力とは暴力の別名に他ならず、腕力の支配する社会が、暴力を肯定していることは論理必然です。

 情報社会になって、頭脳労働が肉体労働に優位し始めたので、腕力の優位が無化し、結果として暴力の否定に繋がっていった。情報社会では、腕力といった剥きだしの暴力は否定されるが、機械を媒介にした頭脳による暴力に置き換えられる。それが女性も参加する戦争である。(2003.01.17) 

 首都圏の起訴件数が過去最高になったと、新聞は治安の悪化を報道している。しかし、非力な女性が台頭している現在、暴力は社会的に否定されている。歴史を振りかえれば、暴力が否定されることは初めての経験だと言っても良い。
 
 長閑だったと想像される江戸時代まで、ほとんどの庶民は自給自足の農業に従事した。自給自足の社会では、支配は暴力でなされる。それに対して、貨幣経済にたつサラリーマン社会では、庶民は生産手段をもたないがゆえに、自給自足ができない。サラリーマンを支配するには、暴力は不要である。

 時代が下るに従って、人間は暴力を好まなくなっている。ちょっと前を思い出しても、男たちがケンカをする場面には、街の各所でしばしば出会った。いつの時代でも、支配者たちは治安の悪化を訴えるものである。(2003.01.12)

 1月7日の日経新聞によると、中学3年生の少女が、47歳の男性会社員を恐喝して、550万円を脅し取ったという。この少女は「後輩を妊娠させた。警察に言うぞ」と脅し、金がなくなると消費者金融を連れまわして借金させた。援助交際がきっかけだったというが、女性の犯罪も男性なみになってきたのは、女性自立の証だろう。それにしても、15歳の少女が47歳の男性を、ですか!!!(2003.01.07)

 西洋における近代化のエートスは、マックス・ウェーバーによれば、プロテスタンティズムだという。本サイトでも「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を取り上げているように、定説として認めている。では近代化した他の地域には、どんなエートスがあったのだろうか。

 わが国につぃて儒教精神とか国学などを上げる人もいるが、私は天皇制だと考えてきた。驚いたことに、小室直樹さんが同じことを言っているのを最近知った。西洋がプロテスタンティズム、わが国が天皇制だとすれば、東・東南アジアの近代化のエートスは何か?それは「開発独裁」だろうと思う。(2003.01.04)

 ライカさん(来家恵美子)が、女子国際プロボクシングのフェザー級世界チャンピョンになった。26歳の頼もしい女性である。女性が男性と同じように活動するようになって、さまざまな分野で女性が成果を上げだしている。

 アメリカ大学フットボールの最高峰1部Aの試合に、とうとう女性が進出した。UCLAとニュー・メキシコ大学の試合に、ケーティ・ハネイダさんが出場した。アメリカのフェミニズムは、体力的にも男女平等を指向しており、多くの映画にもそうした女性たちが描かれてきた。男性でも、ひときわ体力の必要なアメリカンフットボールに、女性が進出したことは特筆されていい。
(2003.01.01)

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